歴史に裏打ちされた個性を身にまとう


野外では身を隠すための装備として、ストリートでは存在をアピールするためのファッションとして、

もはや我々の生活から切っても切り離せない存在となっているのがカモ柄。
ここでは歴戦の銘柄から最新の迷彩事情までを一堂に会し、改めてその個性にクローズアップしてみます。

1943年に米陸軍M1942ジャングルワンピースにて採用された迷彩。フロッグスキンとも言われる同迷彩は細かなパターンが特徴。米海兵隊がその効果を聞きつけてユーティリティジャケットに採用したのも有名な話です。ナム戦期まで様々なバリエーションが生まれました。

WW・期の独軍ライバームスター迷彩に起因するスイス軍のTAZ57~83迷彩。アルペンフラージュとも呼ばれ、山岳国ならではの草、岩肌、土に馴染むカラーリングを採用しています。TAZ90からは定番のウッドカラーとなりますが、落ち葉が舞う秋~冬の森林フィールドには同迷彩こそ効果的でしょう。

仏軍のリザード迷彩をベースに南ベトナム政府軍が製作したのが起源となる迷彩。ナム戦期の米軍迷彩といった印象が強いですが、実はそのデザインを気に入った米軍人たちが同迷彩服を現地調達していたとか。ヘビのようにうねった野性的なパターンが、インパクト重視のファッションにもよく馴染みます。

ミリタリーフリークの間で今なお高い人気を誇っているイギリス軍ならではのブラッシュパターン迷彩「DPM」。定番のウッドカラーが採用された森林地帯用パターンは複雑に絡み合った枝葉のようで日本の森林にも馴染みます。デイリーユースとしても使える❝ストリート感❞もポイントの1つ。

ナム戦中期に工兵調査開発研究(ERDL)で開発されたERDL迷彩(通称リーフパターン)は、主に特殊部隊へ支給された戦闘服にて採用。この後アメリカ軍を代表する迷彩となったウッドランドパターンの原型です。ウッドランドパターンより緑味の強いカラーリングが特徴となっています。

80年代に西ドイツ軍が採用したことに始めるフレクターカモ。名称はドイツ語で点を表す。❝フレック❞と迷彩を表す❝ターヌング❞を合わせた造語です。針葉樹の多いドイツ周辺の自然環境に合わせたパターンと配色は自衛隊迷彩にも似ていて、日本の自然環境にもよくマッチすること受け合い。

アメリカ軍が開発したERDLパターンをヨーロッパの森林地帯向けに改良したのがウッドランド迷彩。特殊部隊員などが未だ一部装備に取り入れている事例もあり、歴史上、最も深く兵士に浸透している迷彩と言えるでしょう。緑と茶がバランスよく混じったカラーリングは街中にも違和感なく映える仕上がり。

スコーフィールド迷彩と双璧をなすロシア軍の定番パターンがフローラ迷彩。ウッドランド迷彩を細かくしたようなパターンと緑味の強いカラーリングは青々と生い茂った森林フィールドと好相性。1990年ごろから採用されていましたが、近年の潮流に乗ってデジタルフローラ迷彩が現用となっています。

1980年代から開発が始まり1990年より採用されたスウェーデン軍のM90迷彩。その直線的なブロックパターンに北欧デザインの息吹を感じられますが、同M90ユニフォームもこだわりに満ちた作りの良さが魅力です。グリーン基調の鮮やかなカラーリングはさんさんと日光の当たる森林でも高い効果を発揮。

ウッドランド迷彩とよく似たパターンに、落ち着いたカラーリングを施したセンターユーロ迷彩。同系統の迷彩の中でも落ち着いた佇まいでひっそり森林に馴染むことができます。このジャケットはいわゆる「F2戦闘服」と呼ばれており、日本でも女性から着用できる豊富なサイズが出回っています。

1998年より採用され、アフガニスタン派遣部隊でも使用されていたノルウェー軍のカモフラージュ。その後はM2000、M/04とモデルチェンジが行われましたが、大柄なパターンと淡い配色はほぼ変わらずに継承。ポップさを強調する黄色味が強く、ストリートファッションにも相性◎です。

「UCP」に代表されるデジタル迷彩の中でも。その先駆けとなったのはカナダ政府との共同開発により生まれた米海兵隊のマーパットです。コンピューター解析により配置されたドットは人間の目に印象を残さないとされており、ウッドカラーを採用した同パターンは森林において最高の迷彩効果を発揮します。

イタリア軍の現用迷彩でイタリアンフレックとも呼ばれているカモフラージュ。ドイツ軍のフレックターンを名称に用いていますが、そのパターンは最新のデジタルカモ要素も含んでおり独特です。配色は赤味の強いライトブラウンが基調となっていて、マルチカム的な万能性能も有しています。

ロシア軍の現用迷彩デジタルフローラのバリエーションとして同軍の有力サプライヤーであるサプラフ社が開発したプラントデジタル。米海兵隊のマーパットよりもドットが細かく、フローラ迷彩同様に緑味の強いカラーリングを採用することで、さらなる迷彩効果を図っています。

米国クライ社が光の反射・吸収率までを考慮して開発したマルチカムをベースに、英国MODと共同開発して生まれたのがMTP。アフガニスタン紛争時に急速に配備された迷彩で砂漠や荒野といったイメージが強いですが、イギリス軍は砂漠、緑地帯、住宅街がクロスオーバーするOPSでこれを使用しました。