MA-1 フライトジャケット  ~The first part~

飛行服史上、不朽の名作と称されるMA-1。
このジャケットの正式名称は、「ジャケット・フライヤーズ・男性用インターメディエートタイプMA-1」(MIL-J-8279)といいます。人類史上初のナイロン素材をマテリアルに採用したB-15の後を受けて、近代化が図られたそのスタイルはBー10から受け継がれてきた襟のムートンを省略したことが最大の特徴。
1950年代中期に開発・採用されて以来マイナーチェンジを繰り返しながら20年ものスパンにて着用されました。その飛行服としての完成度に加え、シガレットタブや後期モデルに搭載されたリバーシブル面のレスキューオレンジなど、軍モノらしいリアル且つキャッチ―なディテールが民間でも高い人気を獲得。世界で最も名を馳せたミリタリーウェアと言っても過言では無い、ナイロン製フライトジャケットがMA-1なのです。
アルファ インダストリーズとMA-1の出会いは戦争兵器が近代戦の一途を辿る冷戦のさなか、1958~1959年のこと。米国防省から軍用ジャケットの見直しを依頼された「ドブスインダストリーズ(アルファ社の前身)」は品質、デザイン性、信頼性と全てにおいて彼らの求めるミルスペック(軍用規格)に完璧に対応します。その結果、アルファ社のMA-1は多くのパイロット、フライトクルーから支持を獲得。米軍からの信頼を勝ち得たアルファ インダストリーズはMA-1のパイオニアとして世界に名を知らしめることになるのでした。
また、その数年後にはベトナム戦争が勃発し爆発的に受注が増加。それを追い風としたアルファ社はフライトジャケットのみならず、様々な軍衣料を製造する米軍最大の制式コントラク ターとして急成長を遂げていくことになるのでした。

63年以降に製造されたJ-8279以降のMA-1はリバーシブル仕様でライニングカラーには国際救難色(レスキューオレンジ)を採用。
墜落事故など不測の事態が発生した際に裏返して着用するよう指示されていました。

アルファ インダストリーズ生誕直前に50年代末期にドブス社にて製造されたモデル。随所に施されたニットリブやシルエット等々、この時点でベースとなるデザインは確立されていました。

1980年代初頭までにデザイン変更は複数回に渡って行われました。その経緯は、タグのミルスペックナンバーに記されており、J-8279から順にアルファベットを更新させていく形
※例えばJ-8279A、J-8279B、J-8279C...で名付けられていました。

敵地において負傷したパイロットの生存を支援するため、ライニングにはブラッドチット(複数の言語にて米空軍兵であることが記された人物証明書)が縫い付けられることもありました。