M-65 フィールドジャケットアルファ社と歩んだもう一つの傑作

MA-1に先駆けて、アルファ インダストリーズが米軍の制式コンストラクターを務めたのが「M-41」より続くフィールドジャケットの類。

その中でも、朝鮮戦争で使用された「M-51」の後継として1965年米陸軍にて制式採用されて以来、2008年にまで実に40年以上にわたってアメリカ軍の現用モデルであり続けたのが「M-65」フィールドジャケットです。

野戦服は一般兵士にも支給されるためフライトジャケットとは桁違いの供給を必要とされており、その製造にはコントラクターのみならず、多数の多民間業者も参加していました。結果、支給品や民製品、B級品に至るまで、多様なパターンの個体が流通しましたが、アルファ社は他社を寄せ付けない圧倒的な納品・生産実績を誇っており、この事実は米国防総省やユーザーがアルファ社に寄せる信頼を窺い知ることができる一つの証拠とも言えるでしょう。

またM-65は表地にコットンとナイロンを、50:50で組み合わせたナイロンコットン(通称NYCO※ナイコ)素材を採用。このマテリアルは速乾性と耐久性、難燃性と吸湿性を兼ね備えた当時としては画期的なモノで、後に様々な軍衣料にて活用されることになります。加えてその完成されたデザインにより「M-65」は普遍的なアウターとして世界中のストリートに浸透。有名メゾンにも影響を与えるなどミリタリージャケットの枠を越えた、近代アウターのエポックメイキングと言っても過言では無いモデルなのです。

カモフラージュパターンの制式採用品

ブラウンリーフ迷彩生地が使用されたM-65は1980年代に製造されたミルスペック準拠の極めて貴重なモデル。

野戦服の代名詞がストリートへ

90年代に製造されたアルファ社のコマーシャル品。ストリートを意識したモノトーンのウッドランドカモフラージュ仕様。

カウンターカルチャーの象徴

反戦デモに代表される文化的活動のアイコンとなっているのもM-65、その優れたファッション性を示す好例と言えます。右写真は90年代の音楽バンドが寄せ書きとして使用したもの。